本当に守れている!?労働時間「1日8時間、週40時間」ルール
前回は「勤怠管理の落とし穴」について書きました。
勤怠管理はお金に直結する部分なので従業員にとっても経営者にとっても重要なポイントですし、関連する法規制も年を追うごとに追加・変更されていくので、システムの力を借りてしっかり管理しましょう!という話でした。
良かったらご覧ください!
そして今回は、何となくスルーされがちな?労働時間の「週40時間」についてみていきましょう!
「1日8時間、週40時間」の基本を押さえよう!
「うちはそんなに残業ないし、労働時間の管理は問題ないよ」
「給与計算は社労士/税理士の先生に任せてるから問題ないでしょ」
「8時間超えた分は残業代払っているよ」
と安心しきっていませんか?
実は、労働時間の基本ルールをしっかり押さえていないと、知らないうちに法律違反になっていることも…!
特に、中小企業や零細企業では、IT担当者がいないことも多く、「勤怠管理が手作業で、正しく記録されていない」というケースがよくあります。
「前任者がこうやっていたから」といった理由で、根拠なく処理されてしまっている場面も幾度となく見ています。
そこで今回は、「1日8時間、週40時間」の労働時間ルールを改めて確認しながら、正確な労務管理のために必要なポイントを振り返りましょう!
おさらい:労働時間の基本ルール
まず、労務管理でよく出てくる「所定労働時間」と「法定労働時間」、どんな違いがあるかはっきり言えますか?
違いは次の通り。
- 所定労働時間:会社が決めた1日の労働時間(例:9時~18時で休憩1時間なら、所定労働時間は8時間)
- 法定労働時間:法律(労働基準法第32条)で定められた労働時間 → 1日8時間、週40時間まで
さっそく出ました、「1日8時間、週40時間」!
例えば、会社が「うちは1日7時間30分労働」と決めている場合、それを超えて働いても即「残業」にはなりません。
法定労働時間(1日8時間)を超えた分が「残業」扱いになります。
あらためて:「残業」の定義って?
つまりこの例でいうと、1日の労働時間は
- 所定労働時間:会社が決めた「1日7時間30分」
- 法定労働時間:法律(労働基準法第32条)で定められた8時間
となり、所定労働時間と法定労働時間に30分の乖離がありますよね。
この場合、7時間30分を超えて働いたうち8時間以内は「残業扱いならない」ということです。
あくまで、8時間を超えたものが「残業扱い」となるのです。
もちろん、会社のルールで「7時間30分を超えたら残業!」として扱うのは従業員にとって利益になるのでOKです。
まとめると、
残業とは、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた労働時間のこと。
- 1日7時間30分勤務の会社で、8時間働いたとしても、法定労働時間の範囲内なので「残業」ではない
- 1日8時間を超えて働いた場合、そこからが「残業時間」
- 週40時間を超えた分も残業扱い
ということになりますね。
「所定労働時間=残業の基準」ではないことを押さえておきましょう!
「週40時間」が曖昧になっちゃう!?変形労働時間制
「え?週40時間だと土曜出勤したら…うちの運用はアウトじゃん?」
そう思われたアナタ、きっと「変形労働時間制」が採用されているハズです。
変形労働制とは
一定の期間(変形期間、1か月 or 1年)を平均して週40時間以内であれば、忙しい日または週において法定労働時間を超えて労働させることができる
という制度です。
これは、月の中で繁閑差の大きい仕事や、週の労働日数は少ないけど1日が長い仕事(1日10時間×4日)などで活用できます。
「土曜日も出勤日がある」職場でも良く使われています。
私も土曜出勤がある会社で働いたことがありますが、その時は変形労働だなんて考えたことは一切なかったです。
ですが、昨今は従業員がこういった知識を持ち始めている状況で、経営者がこの点をしっかり理解していないのはリスクしかないな…と思います。
勤怠管理の導入支援をする中で、結構曖昧に運用されている(というか勝手に都合よく解釈している)企業もあるので注意が必要です。
変形労働制あるなら問題ないじゃん?と思ったアナタ…
本当に大丈夫でしょうか?
変形労働時間制を適用するには、労使協定の締結、労働基準監督署への届出が必要です。
また、労働時間の計算方法が複雑なので、適切な管理ができていないと違法になってしまうリスクもあります。
- 基準日はいつかわかりますか?
- シフト管理が大原則となりますが、きちんと運用されていますか?
- 本当にすべての週で40時間以内をクリアしていますか?
- 「週40時間以内」と「勤怠の締日」の関係をきちんと整理して給与計算できていますか?
明確に答えられないものがあるのであれば、リスクがあるかもしれません!
「給与計算は外部委託しているから大丈夫」じゃないかも
また、「社労士 or 税理士に給与計算委託している」だけでは、大丈夫じゃないかもしれません!
給与計算の委託は「計算業務の委託」であって、「労働時間の計算の委託を含む」わけではないケースもあります。
委託しているからと言っても、作業している方すべてが「有資格者」「有識者」である保証はありません。
変形労働なのに、紙のタイムカードを渡して1か月の残業時間を合計して終わり、なんてこともあり得るかもしれません。
すべてがそうというわけではないですが、実際にそういう事務所が居たことも事実です。
不安な場合は、今一度委託先に確認して、制度の運用状況を見直してみるのが大事です!
まとめ:まずやるべき3つのこと!
「1日8時間、週40時間」をテーマに書いてみましたが、気にすべきポイントがいくつかありました。
まず、できることとして次の観点で自社をチェックしてみましょう!
- 自社の労働時間ルールをチェック(就業規則と実態に乖離がないか?)
- 変形労働時間制を導入している場合は、適用ルールを確認
- 自社で「残業」になる条件を再確認して、給与計算上で不備がないか確認する
おススメは「勤怠管理システム」を入れること!
所定内労働、法定内労働、週40時間、変形労働…今日のテーマだけでも色々と気にしなければならないポイントはありますが、本当にこれを今の運用で管理し続けることはできるでしょうか?
これらに加え、びっくりするくらい多い、毎年の労働関連法の改正に対応し続けることはもはや不可能な領域だと思います。
正直、現労務担当or給与担当の方がいなくなったらアウトです。
そうならないためにも、面倒な法令対応や集計をやってくれる「勤怠管理システム」の導入が良い解決策になるのです。
ただ、「勤怠管理システムを入れたからOK!」というわけではなく、自社の運用を踏まえて適切に設定・運用ルールを決める必要があります。
逆に言うと、勤怠管理システム導入は”会社のルールを見直すタイミング"でもあるわけですね!
導入する際のベンダー選定はしっかりと…!
導入する際は、運用ルールまで一緒に考え、整理してくれる業者を選びましょう。
ライセンス販売料目当ての「サービスを売るだけ」の業者は結構いますので、「導入支援費用が安い」だけで選ぶのは危険です。
「導入決めたのに『サポートセンターに電話すると設定教えてくれます』と言われてしまった」なんて事例もありました。
笑い話にもならないですよね、本当に…。
「なんとなくやっているけど、本当に正しく管理できているのかな?」と思ったら、今すぐ見直してみましょう!
ミライドットでは、ITが苦手な企業でも導入しやすい勤怠管理システムの選び方や活用方法の整理をお手伝いしています。
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