DXは『社長の考え』次第で結果が激変!?

前回、前々回とDXについて触れてきました。
DXに取り組む必要性はご理解いただけたと思います。
まだの方はぜひご覧ください!

中小企業こそDXが必要な理由

前回は「結局、『DX』って何?」をテーマに上げました。今回のテーマに繋がっていますので、よろしければご覧ください。 中小企業こそDXに全力で取り組まなければならない…

今回も同じDXをテーマに、『社長の考え』にフォーカスして話をします。

DXをコストでしか見てもらえないと、IT担当は苦しむ

多くの企業を支援している中で感じること、それはDX(IT)導入を"コスト"で判断されている企業が多いということです。
「DXでコストを気にするのはナンセンス!」と言っているのではなく、もう少し違う視点が必要では?と感じる場面が多いのです。

私が事業会社でIT担当をしていた頃の話ですが、コストでしか判断されずに苦労した経験があります。

当時としては(地方では)先進的な機器の導入を企画していたときのことです。
セキュリティ上の理由でどうしても現状よりコストアップするため、それこそ毎月の電気代含めて費用対効果もしっかり提示して、それを上回るであろうメリットも用意して社長に提案に臨みました。

1回で提案が通るはずがなく、手を変え品を変え(?)、何度も再提案を続けていました。
しかし、なかなか承認を得られず…

最終的に社長から

『まだあきらめていないの笑』

と言われる始末。
ですが、絶対に会社にとっては必要な投資だと確信していたので、(半ば意地で)各方面と調整し、ベンダーの価格面の協力もあってなんとか採用となりました。

結局、決め手はコストだったということです。

私が入社した当時、「セキュリティ対策?なにそれおいしいの?」状態でしたのでとても焦っていました。
最悪、ビジネス継続ができなくなるリスクがあったので、無事採用になってとても安堵したことを覚えています…。

確かに、DXやITに対する投資は費用がかさみますが、適切に判断できれば、それを補って余りあるメリットが多いはずです。
先の例では、私が入社するまで誰も気にしていなかった、いわば顕在化していなかったリスクをITに投資することで低減できたのです。

コストは大切ですが、社員が勇気をもって提案してくるということは、現場が抱えるそれなりの理由があるはずです。
ましてや、中小企業の社員はITが得意なわけでも、プレゼンが上手なわけでもない方がほとんどなはずですので、そんな方が相談に来たら、是非耳を傾けてあげてください。

DXは”社長が本気”になると簡単に進む

先の提案からしばらくして、世間はクラウドブームに。
私は懲りずに新しいサービス導入やクラウド化の提案をいくつも行いました。

前回同様に採用は難航か・・・と思いきや、これらは即採用。

何が変わったのかと言うと、社長がITベンチャーの社長と懇意になり、ITの破壊力を知ったこと。

そこから、新しいことへチャレンジが受け入れられやすくなり、クラウドに強いベンダーとの出会いもあって、その結果、新しい取り組みが先進事例としてメディアに取り上げられたり、良い方向に回り始めました。

なかなか採用されなかった冒頭の提案は、私の提案力のなさが多分にあったことは否定できませんが、

社長が『DX』に対して、つまり『新しいことへの変化』にいかに敏感であるか

これが大事であることを、少しはお分かりいただける事例だと思います。
その後も色々な改革を進め、今ではDX先進企業として新潟県内でちょっと有名になっています。

このような実体験から、

『世の中の中小企業の社長にもっとITの威力を知ってもらいたい』
『当時の私と同じようなことで困っているIT担当者の支援をしたい』

と思うようになったことが、ミライドットとして中小企業DX支援を始めた理由の一つです。
ITベンチャーの社長と懇意になったり、急にITに詳しくなることはなかなか難しいので、そういった点を私が補えたらな、と思っています。

「補助金がとれたらDXします」って言っていませんか?

もう一つ、お金がらみの話。

ここ数年は国や自治体がこぞって「DX支援」を打ち出しているため、補助金や助成金が多くあります。
私がご支援したお客様でも実際にうまく活用して成果を上げている企業もあります。

ですが、気になるのは

「補助金がとれたら採用します」

という企業が結構あることです。

補助金や助成金を否定するつもりは全然ないのですが、そのように言う企業は、導入がスムーズに進んだためしがありません。

なぜなら、その時点で「コストとメリットを天秤にかけて、コストが勝っている」からです。

つまり、導入しようとしている製品やサービスの本質を見ていないのです。
そして導入が始まれば、現場とベンダー任せ。
現場の課題を知ったうえでの選定ではないので、トラブルも生じます。
それじゃあ、成功しないですよね。

理由はもう一つ、現場の協力が得られないという点もあります。

コストが先行して意思決定しているため、現場の納得感がない場合がほとんどなのに、悪い意味でトップダウンで「やれ!」となるわけですから、当事者意識が芽生えるはずもありませんよね。
一応、事前ミーティングの場には現場の担当者も同席するのですが、我関せずなのか無言な方がほとんどです。

こうなると失敗は火を見るより明らかです。

なので、最近はDXの相談を受けている際に「補助金」「助成金」というキーワードがでてくると、少し身構えてしまいます…。

ただ、同じキーワードが出ても、

「補助金が取れなくても、これはやります」

という企業は大好きです!

実際に、このような企業は現場の方も協力的で、成果が出やすいです。
支援する私もテンションが上がり、ついつい過剰な支援をしてしまうこともしばしば笑
現場の方が喜ぶ姿が見れるのは、私としても嬉しいので良いのですが。

補助金や助成金はコスト面では有効ですが、あくまでそれで得た製品/サービスを活用して事業をより良くすることが目的ですよね。

「補助金がとれたら…」と言ったことのある方、気を付けましょう!

今からDXに本気になろう!

DXといっても、デジタルに詳しくなる努力をする必要は全くないですし、その知見が必要となったらプロに頼ればいいのです。

なので、まずは

『月に1つ、デジタルを活用して小さな改善をする』

と決め、社員に宣言するのです。

そして、社員と一緒になって、本当に何でもいいので、例えば「エクセルの関数を使ってみた」とか、「迷惑メールのフィルタを作ってみた」とかなんでも構わないので、本当に軽微なことでもいいので、小さな一歩を踏み出し続け、成功体験を積み重ねます。

”デジタルを活用して”という前提は、今までの業務の流れから離れた思考を持ちやすいという理由からで、もしそれが足かせになるのであれば、それにこだわらなくても構いません。

そうやって改善を積み重ねていくうちに、気が付くと何かが変わっているはずです。
DXと言っても、結局は一足飛びに成果が出るわけではないので、それでいいのです。

私が支援させていただいているお客様も、当初は「全社DXをするんだ!」と意気込んでスタートしましたが、最初に課題を整理して方向性を整理していくうちに、自然と「今の業務で無駄なところから変えていこう」となり、小さな改善を積み重ねて、少しずつ変わってきています。

メリットもあって、小さなことの積み重ねなので現場の負担が少ないですし、外部の協力を得たとしても費用が少なくて済むのです。

毎月1つの小さな改善、やってみたくなりませんか?
是非、今日からDXに本気になってスタートしましょう!


ミライドットでは取り上げてほしいテーマのリクエストを受け付けています。
お名前等の記入は不要ですのでお気軽にリクエストください!

投稿者プロフィール

穗苅洋介